元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

一畑電鉄出雲大社前駅(出雲市大社町)その2

以前、出雲大社前駅(旧大社神門駅)をご紹介しましたが、
今回はその補足です。

DSCF9356.jpg
一畑電鉄の川跡・大社神門間は、昭和5年2月2日に開業しています。
この駅舎の建築年も昭和5年とされていますが、
その設計者、施工者はこれまで不明とされてきました。

開業当時の新聞記事を見れば、
何か駅舎の情報が記されているのではないかと思い、調べてみました。

山陰新聞拡大
山陰新聞1月29日

開業直前、1月29日付の山陰新聞に、
駅舎竣工とその詳細が記されている記事をみつけましたので、
記事を抜粋してみます。

「異彩を放つ大社神門駅」
「~工費約三万円漸く竣工す~」
一畑電鉄の大社神門駅は二十七日(※1完成、
請負者安藤組から会社に引き渡されたが
敷地約二百五十坪、工費約三万円
建物は総て鉄筋コンクリート造りで
「松江一畑行電車のりば」の電飾塔は高さ六十五尺(※2
停車場建物の様式は各派の特徴を巧みに調和し、
屋内の装飾は最新流行の分離派を取り入れ、
屋根瓦は青色の仏蘭西瓦を用い異彩を放っている。
大社町の新名所たるに至るであろう。


※1)昭和5年1月27日と思われる
※2)およそ25m
※ブログ主にて現代仮名遣いに改め、句読点を適宜挿入


・建物の工事請負は安藤組
・電飾塔があり、その高さは約25m
・様式は各派の特徴を巧みに調和
・内装は分離派
・屋根瓦は仏蘭西瓦

等という情報が新聞記事から読み取れます。
残念ながら設計者の氏名は記されていませんでしたが、
建物の請負が安藤組ということがわかりました。
安藤組というのは、
現在まで続くゼネコンの安藤組(現安藤ハザマ)ではないかと思われます。

img023.jpg
松陽新報2月2日

松陽新報では、駅舎についての記述はありませんでしたが、
完成間近?と思われる駅構内の写真が載っておりました。

松陽新報拡大
松陽新報2月2日付紙面より抜粋

ホームの上屋と、工事中の塔が写されています。
塔は上記の山陰新聞で「65尺の電飾塔」とされているものでしょう。

DSCF9432.jpg
若干アングルは異なりますが、当時の写真と比べてみます。
Y字型のホーム上屋は開業当時と同じもののように思われます。

山陰新聞写真拡大

→
最後に、当時の駅舎の写真と現在とを比べてみましょう。

65尺の電飾塔は撤去されています。
矢印①のところが電飾塔の根元と思われます。
また、矢印②の庇の部分ですが、
竣工当時に比べて短縮されているのがわかります。


以上、出雲大社前駅の補足でした。


【建物のプロフィール】
竣工当時の建物名:大社神門駅
現在の建物名:出雲大社前駅
竣工:昭和5年
構造:鉄筋コンクリート平屋建て
設計者:?
施工者:安藤組
その他:工費三万円

【参考文献】
山陰新聞 昭和5年1月29日付記事
松陽新報 昭和5年2月2日付記事

スポンサーサイト
  1. 2015/08/30(日) 23:24:25|
  2. 島根県の近代建築・出雲市
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ