元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

旧矢上銀行本店(邑南町矢上)

や1
邑南町矢上に残る、旧矢上銀行本店の建物です。

や2
矢上銀行は明治33年にこの矢上の地に設立され、
昭和16年に同じ石見地方の石州銀行とともに山陰合同銀行に買収されています。
矢上銀行の現存する建築としては、江津市の旧矢上銀行江津支店が有名ですね。
この建物は昭和16年以降も山陰合同銀行の支店として、
昭和63年の支店新築移転まで使用され続けました。

や3
この建物の建築年ですが、
平成14年刊の「島根県の近代化遺産」では明治33年とされています。
が、御覧の通り改修されていて、とても明治33年の建物には見えません。
同書ではこの建物の構造を「木造・モルタル」としていますが、
それはおそらく現在の姿を指しているのでしょう。

や4
昭和58年刊の「日本近代建築総覧新版」のリストでは、
この建物の建築年を大正3年築としています。
おまけに備考欄に棟札現存とあり、
建築の記録を記念する棟札が残っているのであれば、
大正3年というのは確かな建築年のような気がします。
とはいえ、「島根県の近代化遺産」も島根県教育委員会が編集している資料ですから、
何らかの根拠があって「明治33年」としたはずです。
もう一度よく資料を確認したいと思います。

上述の「日本近代建築総覧新版」では、この建物を「土蔵造り」としています。
確かに土蔵造りの建物をいろいろと改修したらこのような姿に
なるのかもねぇという気がいたします。建築当時の写真を見てみたいものです。


【平成27年1月追記】
●改装前の姿
建築当時かどうかわかりませんが、
「山陰合同銀行五十年史」に、改装前の画像がありました。

やがみ
「山陰合同銀行五十年史」より転載
松江銀行本店のような土蔵風のデザインを想像していましたが、
思いのほかモダン・洋風でした。
壁はモルタル塗りで柱部分などを石貼り風にした感じでしょうか。

やがみ(今)
窓の配置などの基本部分は改変されていないことがわかります。


●建築年について
この建物の建築年は、資料によって異なっております。
・「日本近代建築総覧新版」(昭和58年):大正3年(棟札現存)
・「島根県の近代化遺産」(平成14年):明治33年

明治33年は矢上銀行の開業の年であります。
「島根県の近代化遺産」でこの建物の解説ページがありますが、
参考文献が「山陰合同銀行史」のみとなっています。
その「山陰合同銀行史」には開業年しか記述がありませんから、
ひょっとすると、開業年である明治33年をそのまま
建築年と判断してしてしまっているのかもしれません。

ブログ主はたんなる素人ですので、
デザインで時代を判断するわけにはいけませんが
前述の松江銀行本店が明治36年で土蔵造りなのに対して、
この建物が明治33年築となんだかモダンすぎる気もするのです。

「棟札現存」というところからも、「日本近代建築総覧新版」の
大正3年というのが建築年として妥当なのではないでしょうか。

【撮影】 
平成24年9月

【参考文献】
山陰合同銀行史 昭和48年 山陰合同銀行
日本近代建築総覧新版 昭和58年 日本建築学会
山陰合同銀行五十年史 平成4年 山陰合同銀行
島根県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書 平成14年 島根県教育委員会

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  1. 2012/10/06(土) 19:58:36|
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