元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

旧粕淵村役場(美郷町粕淵)

粕淵1
江の川の流域で最大の近代建築ではないかと思われるのが、
今回ご紹介する旧粕淵村役場です。

粕淵2
「島根県の近代化遺産」では昭和2年の築とされていますが、
昭和期の建物にしてはややデザインが古いのではないかという印象を受けます。
「新版日本近代建築総覧」では建築年を「M」、明治時代としています。

粕淵3

粕淵4

粕淵5
特徴的な玄関部分。ベランダ風のデザインですが2階に出入り口はありません。

粕淵6
玄関。

粕淵7
窓。かっこいいです。

粕淵8
裏側から。隣に平屋建ての別棟があって屋根が渡してあります。

粕淵9
やや荒廃しているのが気にかかります。

粕淵10

粕淵11
裏側にはオリジナルの建具が残っています。

粕淵12
正面からもう一枚。
このような素晴らしい建物が残されていたとは全く知りませんでした。
路地裏統合サイト【街角風景】様でこの建物を紹介されているのを拝見して
この建物の存在を知り、建物が粕淵にあることを教えていただきました。


さて、建物の歴史ですが、元は粕淵村(町)の役場だったようです。
粕淵村は昭和22年に粕淵町となり、
昭和30年には粕淵町のほか周辺の吾郷村、君谷村、沢谷村、浜原村が合併して
邑智町が成立、平成16年に邑智町と大和村が合併して現在の美郷町に至ります。

邑智町が成立する際、新役場をどこに設置するいろいろあったようですが、
最終的にはこの粕淵町役場を新生邑智町の役場とすることが決まりました。
昭和40年の役場移転まで邑智町役場として利用され、
昭和45年からは縫製工場として最近まで利用されてきたようです。
現在は空家?なのでしょうか、稼働しているようには見えません。

時系列に表しますと下記の通りです。
昭和2年?  粕淵村役場竣工?
昭和22年  町制施行で粕淵町発足
昭和30年  邑智町発足 邑智町役場
昭和40年  邑智中学校新築 役場が旧邑智中学校校舎に移転
昭和45年  旧役場に縫製工場が入居
平成元年頃 上げ下げ窓をサッシ化
現在    空家?

左側が増築されていますが、「島根の近代化遺産」では、
縫製工場が入居した頃に増築したものとしています。
一方、邑智町誌下巻では邑智町成立の項に「新生邑智役場」というキャプションを付けた
邑智町成立当時の当該建物の写真が掲載されており、すでに増築部分がみられます。

当地出身のブログ主友人はこの建物を「物置」と表現しており、
また、建物右側の付属する平屋建ての脇ではポンプ?のようなものが
モーター音をうならせていたことから、完全な空家ということではなく、
何らかの使われ方をしているのではないかとも思われます。


この建物が立地する場所は、
現在の粕淵の市街地の中ではずいぶん奥まった場所にあり、
行き止まりの道の終点に旧役場の建物があります。
友人に場所を教えてもらっていたのでたどり着くことができましたが、
予備知識なく行ったらたどり着けなかったであろう立地です。
現在の感覚だとなんとも不思議な立地に役場があると感じるのですが、
役場の隣には歴史の古いお寺、はす向かいには旧本陣の建物が残されていることから、
かつては重要な一画であったのでしょう。

粕淵13
画像は旧役場へ至る道(の入り口側を撮ったもの)なのですが、
このような狭い道の行き止まりに旧役場は建設されているのです。

粕淵15
はす向いにある旅館「亀遊亭」。
江戸時代の本陣だった建物をそのまま旅館としているそうです。

粕淵14
旧粕淵村役場の周囲には上述の「亀遊亭」や、
この地域の浄土真宗発祥の地といわれる浄土寺など、
歴史的な趣のある町並みが残されているのですが、
この建物の存在は地元のHPなどを見る限り載が全くなく、無視された状態です。
せっかくの歴史的な建物でるのですから、何とか活用できないものでしょうか。

上記のように粕淵にも素晴らしい歴史的な町並みがまだ残されていますし、
温泉津温泉や湯抱温泉や三瓶山といった観光資源からもほど近く、
何といっても石見銀山からもそう遠くはない立地であることですから、
世界遺産観光がてらのお客をこちらへ誘導することも十分可能なのではないかと思います。

すみません、勝手なこと言いました。。。



(参考)
邑智町誌下巻(昭和53年 邑智町) 
島根県の近代化遺産(平成14年 島根県教育委員会)
新版日本近代建築総覧(昭和58年 日本建築学会)
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  1. 2012/10/13(土) 17:13:30|
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