元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

作橋(松江市大正町/本郷町)

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松江市内、天神川に架かる昭和11年3月架橋の作橋です。

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上流側にはモダンな親柱が現存しています。
残念ながら下流側は拡幅されており、古い橋の面影はありません。

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かつては(平成15年1月撮影)、このように灯具の跡が残るのみでした。

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平成19年12月に再訪したら、御覧の通りきれいに修復され、
照明が復活、橋名板も新調されていました。
灯具はちょっと現代的で、親柱のデザインと調和していないような気もします。



「土木学会図書館」というサイトでは、
戦前の土木雑誌「道路の改良」のバックナンバーをpdfで閲覧することができます。
この「道路の改良」という雑誌には「地方通信」という欄があって、
各地域の道路・橋のニュースが掲載されており、
島根県の記事もあって当時の県内の道路・橋の改修についての状況の一端が確認できます。
バックナンバーのこの欄を辛抱強く確認してゆくと、この作橋に関する記事が3点見つかりました。

少々長いのですが、抜粋転載します(原文は旧字体・旧仮名使い)。

昭和9年7月
「島根県の橋梁架替計画」
島根県土木課では、総工費八十万円を投じて、十ケ年継続事業として
県下の腐朽橋梁約百二十橋を全部堅牢な鉄筋コンクリート橋に改良し、
県下橋梁の面目を一新する計画を樹立しているが、本九年度に於いては
総工費十万を投じて左記十一橋の改良を行うことに決定した由である。
 国道十九号線作橋、霞安来線天野前小橋三成横田線吉重橋、国道十八号線下田橋、
松江広島線柳橋、久手温泉津線堤口橋(湯里川)、川東壬生線出羽橋、
浜田唐鐘線土穴橋、唐鐘都野津線敬川橋、国道十八号線、津田橋、大橋。

昭和10年3月
「島根県の作橋」
松江市の南北大幹線道路本郷町北田町線中の天神川に架設計画中の作橋は、同県の橋梁改築費を以て架設されることに決定し、二月初旬に着工の予定である。
同橋は総工費二万六千余円を費して、延長二十八メートル、幅員十四メートル、
高さ三メートル一四のゲルバー式橋梁に架設されるものにして、
地元負担約一割の予定であるが、同橋の竣工により松江市の南北幹線道路の利用激増し、
附近の面目は一新されるであろう。

昭和10年4月
「島根県の架橋事業」
島根県では九年度から十六年度にいたる八ケ年継続事業として
総工費五十万六千二百円で国、県道橋梁五十四橋を改架することとなって
本年度にては国道十九号-線作橋三万円
、松江広島線-柳橋一万八千二百円、
国道十八号線-下田橋五千九百円、久手温泉津線-堤口橋四千六百円、
国道十八号線-津田橋三千八百円、同津和野橋一万二千円の六橋を
工費計七万四千五百円で施工するとの事である。


要約すると、県の十カ年継続事業の一環として、
県内の老朽化した木橋をRC橋に改架する計画のなかで、
作橋はその第一弾として工事が実施されたようです。

記事の執筆から発行までに時間差があるのか、
昭和10年3月号で、「2月に初旬に着工の予定」とあったり、
昭和10年4月号で「本年度にては」とあったり、時系列が良く分からなくなっていますが、
実際の完成が昭和11年3月ですから、少なくとも昭和10年には着工しているのでしょう。

文章中に出てくる「国道19号」というのは、ウィキペディアによりますと、
大正時代に制定された国道№だそうで、
19号線は「東京市から岡山、米子を経由して島根県県庁所在地まで」のルートだったようです。
現在でも市内の幹線道路ですが、当時としても重要な道路だったのです。
10年4月号では各橋にかける工費の記載がありますが、
作橋が断トツで工費が高く、この橋(と国道19号線)の重要性が工費にも表れているのでしょう。

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「道路の改良」によれば、橋の形式はゲルバー式とあります。
一般的な桁橋より優美な姿です。

上述のように、この橋の持つ重要性から、
他の橋よりデザイン性が求められてこのようなゲルバー式を採用したのか、
また、ゲルバー式は軟弱な土地に強いとありますので、
そのような複数の理由からこの形式が選ばれたのではないでしょうか。


【橋の諸元】
橋名:作橋
竣工:昭和11年
形式:RCゲルバー橋
所在地:松江市大正町/本郷町
川:天神川
道路:県道21号線

【撮影】 
平成15年1月
平成19年12月

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