元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

下田橋(出雲市多伎町小田)

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山陰本線の小田駅から、小田の集落に向かう途中、
小田川に架かるのがこの下田橋です。
中間橋脚を2本持つ、3スパンのRC桁橋です。

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東岸(出雲市側)の親柱は2基とも現存しています。
下流側の親柱は橋名板が失われています。

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こういったデザインはなんという様式なのでしょうか?
本体の角の部分がやたらに削れているのは、
小田駅の方からきた道路が橋の所でL字に向きを変えるので、
車が曲がり切れずに親柱に引っかけたからではないでしょうか。


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下流側の親柱には陶製の表札のような橋名板が埋め込まれています。
「小田川下田橋 小田温泉入口」とあります。
元の橋名板のサイズより小さく、埋め跡がありますから、
オリジナルの「表札」ではないでしょう。
たしかに橋の袂から左へ、川沿いの細い道をくだると、
現在も小田温泉の一軒宿が盛業中です。

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西岸(大田市側)は上流側に道があるため、
曲がりやすいよう拡幅されています。

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橋桁をよく見ると、拡幅部分に付けたしが確認できます。
ブログを書いている時に気がつきましたが、
2本の中間橋脚の形状が微妙に異なります。なぜ?

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欄干は古い橋にありがちなコンクリート製。
等間隔に並ぶ穴がアクセントです。
かつては金属製の格子がはめられていたのでしょうか。

画像手前の欄干が緩やかにカーブしているあたりは、
拡幅された部分です。オリジナルの欄干から継ぎ目なく、
同じデザインに仕上げてあります。

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欄干とは対照的に、
親柱は東岸とは似て非なるデザインに仕上がっています。


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オリジナルに似せようとしている形跡はありますが、
なんとも墓石のような形になってしまっていますね。

表面に塗っていたモルタル?が剥離してしまっています。
コンクリートで形を作り、モルタル?で仕上げて
石造風に見せていることがわかります。


橋の架橋年時ですが、東岸の親柱は、下流は橋名板欠落、上流は「小田温泉」のプレート、
西岸はそれぞれ「小田川」、「下田橋」の表記があり、架橋年を示すものはありませんでした。

作橋の項でも参考とした「道路の改良」という雑誌の地方の土木事業を紹介する「地方通信」のコーナーでは、この下田橋について次のような記述がありました。

昭和9年7月号
「島根県の橋梁架替計画」
島根県土木課では、総工費八十万円を投じて、十ケ年継続事業として、
県下の腐朽橋梁約百二十橋を全部堅牢な鉄筋コンクリート橋に改良し、
県下橋梁の面目を一新する計画を樹立しているが、本九年度に於いては、
総工費十万を投じて左記十一橋の改良を行うことに決定した由である。
 国道十九号線作橋、霞安来線天野前小橋三成横田線吉重橋、国道十八号線下田橋
松江広島線柳橋、久手温泉津線堤口橋(湯里川)、川東壬生線出羽橋、
浜田唐鐘線土穴橋、唐鐘都野津線敬川橋、国道十八号線、津田橋、大橋。

昭和10年4月号
「島根県の架橋事業」
島根県では九年度から十六年度にいたる八ケ年継続事業として
総工費五十万六千二百円で国、県道橋梁五十四橋を改架することとなって
本年度にては国道十九号-線作橋三万円、松江広島線-柳橋一万八千二百円、
国道十八号線-下田橋五千九百円、久手温泉津線-堤口橋四千六百円、
国道十八号線-津田橋三千八百円、同津和野橋一万二千円の六橋を
工費計七万四千五百円で施工するとの事である。


素直に読めば、九年度で改良を行うことを決定しているのに、
翌十年度にも施工することになっていてよくわからなくなるのですが、
いずれにしても昭和10年頃に着工したのでありましょう。
同じく昭和10年に着工しているであろう、
松江市内の作橋は昭和11年に完成していますので、
この下田橋も昭和11年頃の架橋とみてよいのではないでしょうか。

余談ながら、作橋についた予算が3万円であるのに対し、
下田橋は半分以下の5千9百円です。
長さや幅は同程度だと思われるのに、
建設の予算にかなり差があるのは興味深いところで、
ゲルバー橋(作橋)と桁橋(下田橋)という工法の違いや、
あるいは工事の難易度というあたりが差として出てきているのでしょうか。



最後に、現在の地図と戦前の地図とで橋の位置を確認します。

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(国土地理院WEBより一部転載・加筆)

現在の国道9号線は小田の集落を避け、海沿いを走っています。

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(昭和10年発行 大日本帝国陸地測量部 「石見大田」1/5万より一部転載・加筆)

昭和10年の地図です。現在の国道はもちろんなく、
下田橋が国道9号線(当時は国道18号線)に架かる橋だったということがわかります。


【橋の諸元】
橋名:下田橋
竣工:昭和11年?
形式:RC桁橋
所在地:出雲市多伎町小田
川:小田川
道路:国道9号線の旧道

【撮影】 
平成26年4月

【参考文献】
道路の改良 昭和9年7月号
道路の改良 昭和10年4月号 


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  1. 2014/12/31(水) 11:42:00|
  2. 島根県の近代橋梁
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コメント

残念ながら…

下田橋、リニューアルされてしまいました(;o;)
ちょっと橋の幅も広くなりましたが、残念なことにあの欄干がフェンスのような格子のデザインに変わってしまいました
安全性と低コストを重視してのリニューアルなのでしょうけれど、昔のあの佇まいは皆無になってしまい、口惜しいですわ
  1. 2015/08/15(土) 18:59:22 |
  2. URL |
  3. ピチコ #-
  4. [ 編集 ]

残念ですね。。。

ピチコさま

コメントいただき、どうもありがとうございます!

下田橋リニューアルされてしまいましたか。。。
通行の安全などを考えるとリニューアルもやむを得ないとは思いますが、できれば、橋の歴史性やオリジナルデザイン性を考慮してほしいですね。

橋の長寿命化の一環と思われますが、
他にもすでにリニューアルされている橋を確認しています。どのようなリニューアル方法になるのか、注視していきたいと思います。
  1. 2015/08/16(日) 22:37:53 |
  2. URL |
  3. 元島根県民 #-
  4. [ 編集 ]

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