元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

鍛冶屋谷橋(津和野町枕瀬)

0.jpg

旧日原町から山口県の岩国市に至る国道187号線は、
おおよそ高津川に沿って走っています。
2車線の快適な道路で、あまり旧道化している箇所がないことから、
既存の道路を拡幅して改良が進められたようであります。

そんな中で、旧日原町の中心部から少し南下した位置にある枕瀬地区については、
高津川が急激に蛇行し、地形も厳しいことから、
高津川に沿っている既存道路の改良ではなく、
187号線は、犬戻トンネル(昭和60年)、新晩越トンネル(昭和63年)の
2つのトンネルにてこの地域をショートカットしています。

ために、この区間については、犬戻トンネルの区間の旧道には鍛冶屋谷橋が、
そして新晩越トンネルの区間には晩越隧道が残されることとなりました。

以下にこの地域の概略図を示します。
枕瀬図1
この地域には、これからご紹介する鍛冶屋谷橋をはじめとし、
大正期の晩越隧道、昭和13年築の日原発電所など、
近代化遺産が点在する素敵な地域となっています。

晩越隧道のすぐそばに、晩越水力発電所があることになっていて、
国土地理院の地図にも発電所のマークがあります。
ブログ主は現地にも調査に行ったのですが
発電所の建物を見つけることができませんでした。

国土地理院の電子国土WEBで閲覧できる地図に、
発電所のマークがあるわけですから、
まだ現存していると考えたいところです。

1_201505102243231ce.jpg
前置きが長くなりましたが、
国道187号線の旧道に架かる鍛冶屋谷橋のご紹介です。

旧道となったこの橋は、現在ではほとんど交通量もなく、
じっくりと橋の意匠を観察することができます。

2_20150510224324d8a.jpg
親柱は欠損なく4本ともきれいな状態で残されています。

このデザインを何様式というのかはわかりませんが、
角を落とした角柱の4面にそれぞれ、
二本の縦の突起をつけてアクセントとしています。
上部には蓋のようにデザインされた部材がかぶせてあります。

現地では素材を確認するのをすっかり忘れていたので確かなことは申せませんが、
おそらくコンクリートに人砥石で石材風にしているものと思われます。

3_201505102243256a9.jpg
橋名板より、昭和9年3月竣工ということがわかります。

橋名板は各親柱にそれぞれ設置されておりますが、
モルタルで付け直したような箇所があり、
橋名板自体の素材もずいぶん新しく見えるので、
後年の再取り付けと思われます。

4_20150510224326ae3.jpg
親柱と欄干その1。
スケールを置いていないのでわかりにくいのですが、
欄干の背がだいぶ低いです(ブログ主の腿くらい)。

5_2015051022435106d.jpg
親柱と欄干その2。

欄干はコンクリート製で軽快なアーチを描いています。
大森の羅漢町橋の欄干にも通じるデザインです。

戦前期の島根県内の橋のデザインはだれがどのように決めていったのか、
現存する橋の親柱や欄干のデザインに共通性はないか、
そのうち調べてみたいと思っています。

6_201505102243533bb.jpg
橋脚のある、桁橋の継ぎ目の部分のデザインです。
継ぎ目部分がアーチの頂点になるよう、半アーチにして、
デザインに連続性を持たせるように考慮されていることがわかります。

7_201505102243546f7.jpg
橋を正面から。幅は、軽自動車同士なら余裕ですれ違える、
普通車同士でもまあまあ普通にすれ違えるという程度の幅です。

13_20150510224448de2.jpg
橋は、鍛冶屋谷川が高津川に合流する地点に架けられています。
高津川の下流側から橋の全体が眺められます。

8_20150510224356d97.jpg
鍛冶屋谷川の方からの状況。
橋の向こうに見えるのが高津川です。
橋の袂から河原に降りられそうだったので、降りてみました。

9_201505102243573a9.jpg
河原から橋を見上げてみます。
コンクリートの構造美といいますか、迫力のある眺めです。

10_20150510224444849.jpg
橋の型式としては、桁橋になるかと思います。
下から眺めますと、桁橋の構造がよくわかります。

そして桁橋の部分、架橋から80年を経過しているはずですが、
ずいぶんときれいな印象を受けます。
昭和60年代まで国道だったので、
メンテナンスがしっかりされていたということでしょうか。

11_201505102244462db.jpg
橋台部分です。
橋台と桁橋の継ぎ目、そして親柱の位置関係がよくわかります。

12_20150510224447940.jpg
状態も良く、当分は安泰なのではないかと思います。

【橋の諸元】
橋名:鍛冶屋谷橋
竣工:昭和8年
形式:RC桁橋
所在地:津和野町枕瀬
川:鍛冶屋谷川
道路:国道187号線の旧道

【撮影】 
平成26年4月

【参考文献】
島根県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書 平成14年 島根県教育委員会


関連記事
スポンサーサイト
  1. 2015/05/10(日) 22:59:02|
  2. 島根県の近代橋梁
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<旧高津川漁業組合事務所(益田市神田町) | ホーム | 横田舟橋(益田市横田町)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://okigoka.blog.fc2.com/tb.php/295-2df44e19
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)