
三江線の浜原駅は昭和12年、石見簗瀬-浜原間の部分開通の際に開業し、
昭和50年の全線開通まで長らく三江線(三江北線)の終着駅でした。
そんな浜原駅には玄関に長く伸びた庇が特徴的な
木造モルタルの駅舎が現存しています。
この駅舎、シンプルな姿で、モダンな戦前築とも、
戦後築とも、どちらにもとれるデザインで、
実際に建築されたのは開業時なのか、それとも戦後になって建てられたのか、
明確にされた資料がなく、築年の断定ができないでいました。
色々と資料を探したのですが、いずれの資料も浜原駅の「開業」が
昭和12年であることは明記されていても、
駅舎がいつ建てられたのかということには触れられていないのです。
例によって松陽新報の開業当時の記事に、この駅舎の写真を確認し、
開業当時からの駅舎、昭和12年築であることが明らかになりました。
(昔のことを調べるときには、当時の新聞を読んでみるのが
一番手っ取り早いような気がしてきました。)
松陽新報 昭和12年10月12日付新聞記事より抜粋
開業当時と現在の姿とを見比べてみると、
窓がアルミサッシ化されたほかはあまり改造もなく、
現在もほぼ開業当時の姿を保っていることがわかります。

浜原駅最大のポイントである玄関。
これだけ庇が広いと、雨が降っても安心ですね。

庇を支える腕が美しい弧を描いています。

浜原駅の時刻表を見てみましょう。
江津方面は日に5本、三次方面は日に4本しか列車がありません。
三次方面に至っては、7時47分の列車を逃すと、
夕方17時1分まで待たねばなりません。
これでは利用したくても利用しにくいですよね。
とはいいながら、沿線人口も少なく、本数を何本か増やしたところで
地域の一般の利用者の増加はあまり望めそうもありませんから、
観光や陰陽連絡の方面で何とかもう少し有効活用出来たらいいのですが。

賑わっていたころの名残なのでしょうか、ホームは長いです。

改札口のあたり。現在、浜原駅は無人駅になっています。

ちょっとレトロな駅名看板が残っています。
【撮影】
平成24年9月
【参考文献】
松陽新報 昭和12年10月12日付新聞記事
島根県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書 平成14年 島根県教育委員会
石見潟第25号 平成21年 江津市文化財研究会
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- 2015/07/11(土) 11:20:29|
- 島根県の近代建築・石見地方
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