元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

旧荘原信用組合事務所(出雲市斐川町荘原)

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以前ご紹介した荘原の元JAの建物の続報です。
既に取り壊されていますが、松陽新報より落成当時の記事を見つけ、
この建物が元々は「荘原信用組合事務所」であったことが
わかりましたのでご紹介します。

3a.jpg
松陽新報(昭和3年11月3日)

当時の新聞記事より建物に関する記述部分を抜粋してみました。

「簸川平野に異彩を放つ荘原信用組合新築事務所落成」
簸川郡荘原村信用組合では三日菊の佳節を卜し
御大典記念事業として新築した事務所落成式を小学校講堂で挙行し
(中略)村をあげて祝賀する同事務所は本年一月総会で記念建築を決議し
鴻池組の指定請負で五月十七日役場敷地地続きに起工し
九月二十六日竣工し十月一日から新館で事務を開始するに至った、
新館は建坪十七坪五合、
鉄筋コンクリート二階建及び付属建物五坪で総工費約八千円、
瀟洒な洋館で地方には異彩をはなっている。


「高橋荘原村長談」
殊に新事務所は鉄筋コンクリート造りで最新様式の堂々たるもので
産業組合事務所として此種の建物は本県下では嚆矢とする様に聞くから
一層欣快禁じ得ないものがある。(以下略)


以上のことより建物のプロフィールを整理してみました。
・荘原村信用組合事務所
・場所は荘原村役場隣接地
・鴻池組が請負
・御大典記念事業として昭和3年5月17日起工
・昭和3年9月26日竣工
・昭和3年11月3日落成式
・鉄筋コンクリート2階建て
・建坪17.5坪
・総工費八千円

JAの前身である、信用組合の事務所として建築され、
なおかつ、鴻池組が手掛けた本格的な
鉄筋コンクリート建築であったことがわかりました。

前回記した昭和3年築は正しかった事になります。
元役場かと思いましたが元々は信用組合事務所として建てられ、
戦後も引き続き農協の施設として利用され続けてきたわけです。

昭和3年ということを考えると、
県内の鉄筋コンクリート造の建築事例としては
かなり早い時期の建物ではないかと思われます。

前出の記事にも、
産業組合事務所が鉄筋コンクリート造で建てられるのは
荘原が最初という文言が出てきています。

「村の信用組合」が鉄筋コンクリート造りと、
思い切ったことをした経緯が気になります。

図2
昭和3年当時と現在の姿(解体前)とを比べてみますと、
玄関部分の増築と窓枠のアルミサッシ化以外は
あまり外観的な変化はないように思われます。
昭和3年の写真にある門柱も残されていることがわかります。


昭和初期に農村に建てられた
鉄筋コンクリートの信用組合事務所の現存例として、
非常に貴重な建物であったわけですが、
すっかり解体されてしまったのが非常に惜しまれます。



【建物のプロフィール】
竣工当時の建物名:荘原村信用組合事務所
現在の建物名:JA斐川町荘原支所
竣工:昭和3年9月26日(起工:S3.5.17 落成式:S3.11.3)
構造:鉄筋コンクリート
設計者:?
施工者:鴻池組松江出張所








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