元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

有福温泉御前湯(江津市有福温泉町)その2

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以前ご紹介した有福温泉御前湯の建築年について、
改めて整理をしたいと思います。

「島根県の近代化遺産」のリストでは御前湯の記載がありません。
其れが為というわけでもないと思いますが、今一つ建築年が定まらず、
ネット上では昭和3年、4年、5年と築年が入り乱れているのが現状です。

そんなわけで、当時の新聞に新築の記事がないか探してみましたところ、
松陽新報の昭和4年4月2日付で御前湯の開浴式の記事を見つけました。
以下、当時の記事を転載します。

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松陽新報(昭和4年4月2日)

けふ賑やかに「御前湯」の開浴式
完備した新築浴場

石見有福温泉にこの度「御前湯」と称する村営の浴場を増設し、
今一日賑やかな開浴式を行う、この湯は工費1万三千円を投じて建てた、
鉄筋コンクリート二階建て、建坪五十坪余の大建物であって、
輪奐の美、内部施設の充実と相俟って、頗る異彩を放っている、
場内階下の男女両浴場には従来とは異なり
湯坪の真ん中から温泉が湧き上がる仕掛けとなし
別に二室の家族浴室も設備してある階上には
畳敷きの休息所なり娯楽室等もあって完全を期した跡が窺える
(以下略)


以上のことから、御前湯は昭和4年に新築成ったということがわかりました。

2の1
余談ではありますが、上記新聞記事に掲載の有福温泉の写真には、
赤丸のところに建物があるはずなのですが、肝心の御前湯がありません。
①の建物は大正14年に建てられた」桜湯、
そして、②の建物は昭和3年に建てられた早月湯です。
したがって、この写真は昭和3年以降、御前湯の建設前に撮影された写真ということになります。

※有福温泉の共同浴場の変遷については、別に整理をしたいと考えています。

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ヤフーオークションで戦前の有福温泉の絵葉書を落札しました。
明確な時期は不明ですが、戦前の御前湯の姿です。
現在はタイル張りとなっている壁面は、
当時はドイツ壁風であったことがわかります。
窓枠部分にアクセントとしてタイルで縁取りがされていることも確認できます。

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観光案内などで「レトロなレンガ造り・・・」と紹介されますが、
基本的には鉄筋コンクリート造りであり、
タイル装飾は後年の改修によるものだったわけであります。

最後に戦前の有福温泉絵葉書から、
松陽新報記事に沿って御前湯の内部の絵葉書をご紹介します。

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「湯坪の真ん中から温泉が湧き上がる仕掛けとなし」

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「別に二室の家族浴室も設備してある」

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「階上には畳敷きの休息所なり娯楽室等もあって完全を期した跡が窺える」

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