元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

国道54号沿線に残る戦前の橋 【その10・霞橋】

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国道54号線沿線の古い橋のその10は、霞橋です。


①現在図 

国土地理院ウオッチ図より

 

霞橋は雲南市、旧掛合町多根の旧道に架かる橋です。

多根地区では三刀屋川が西に大きく蛇行しており、

元の国道54号線もこの三刀屋川に沿っていました。

 

戦後の国道改良工事によって、多根トンネルが作られ、

国道がショートカットすることとなったため、

多根地区の道は拡幅されることなく旧道となり、

結果、霞橋も架橋当時のまま残されているわけであります。


①昭和7年参謀本部木次 

「木次(昭和7年参謀本部)」より

 

戦前の松尾橋・霞橋周辺を地図より抜き出しました。

霞橋の近くには旧多根村の役場があったようです。


2 

三刀屋側より眺める霞橋の全景です。

道幅は2車線弱くらいあり、これは当時のままの姿と思われます。


3_20161010164256ecf.jpg 

「昭和89月改架」とあります。

霞橋の親柱は4基とも現存しており、

いずれも橋名と改架年月が刻まれているのが確認でき、

一連の橋の中で、現地で橋名と年代が分かる貴重な存在です。

 

昭和8年、霞橋竣工前後の新聞記事を、見つけることが出来ましたので、

転記したいと思います。


③s8820 

松陽新報(昭和8820日)

「河川大増水し霞橋陥落す 飯石郡中央部の豪雨」

さる十七日正午頃より約二時間に亘り飯石郡中央部多根、松笠両村では

雷鳴轟き大豪雨あり河川はために一丈余の増水を見た。

これがため流域水田は殆ど増水したが、

多根村では折から改架工事中の県道霞橋が一大音響と共に陥落し、

松江、広島線の交通は途絶した。

木次土木管区出張所では直ちに現場に急行し応急処置の結果、

間もなく人の通行は可能となった、

なお復旧工事に着手し十九日午後までには車馬の通行可能の予定である。

 

昭和8820日に、局所的なゲリラ豪雨が発生して、

改架工事中の橋が陥落したという記事です。

霞橋は翌9月には竣工式を挙げておりますので、

「改架工事中の橋が陥落」する状況が良くつかめませんが、

あるいは、仮設の橋が流されたということなのかもしれません。

 

一か月後の同じく松陽新報で竣工式の模様が記事となっていました。


③s8930 


松陽新報(昭和8930日)

「霞橋竣工式」

「飯石郡多根村にて秋晴の廿八日盛大に挙行」

飯石郡多根村字霞町地内県道霞橋は本年六月以来県費を以て

大原郡木次町稲田組によって改架中のところ此程完成し

鉄筋コンクリートのモダン橋となり之が竣工渡り初式を

廿八日午後三時より霞町協賛会に於て執行したが、

来賓として

清水県議、守山木次土木管区所長、古藤掛谷警察署長、

前島技手、長岡工手、吾郷多根村長、

中島多根村小学校長、稲田工事請負人其他多根村議員、

学校教員、村民有志者数十名にて

定刻煙火打揚と共に吉川星原神社社導は修祓式を挙行、

渡部町協賛会長の挙式の挨拶、来賓の玉串奉奠の後、

小学校児童をして渡り初を行い、

吾郷村長の発声にて天皇陛下万歳を三唱して式を閉じ

直ちに来賓は協賛会主催の祝賀宴会に臨み午後八時盛宴理に閉会した。

尚当日は協賛会の余興沢山あり、

煙火を打揚げ又福引等あり近郷よりの人出等で近来にない賑いを呈し

又行商人等沢山入り込み大雑踏を呈した。

 

「多根村字霞町地内」とある事から、「霞橋」の名前は、

当地の地名からとられたことが分かります。

新聞記事には来賓出席者の様子、式の次第、当日の村の様子などが記されており、

当時を知るための貴重な資料ではないでしょうか。

 

橋の記録としては下記のことが明らかになりました。

・昭和8年6月起工

・昭和8928日竣工式

・県費にて工事

・木次町の稲田組が施工


4_2016101016431616a.jpg 

親柱はデザイン的に当時のもののようですが、

それに比べ欄干部分は少々簡素な感じであり、

戦後に作り直されたもののように思われます。


5_20161010164317130.jpg 

欄干の鉄パイプが親柱に突き刺さるの図。

ほかに欄干を撤去したような痕跡はなく、

オリジナルも鉄製欄干で戦時中に供出、

戦後、その跡を利用して同じように据え付け直したのかもしれません。


6_20161010164319d6e.jpg 

橋脚のない小さな橋で、三刀屋川の支流である濁川に架かっています。

画像橋の向こうに見えるのは三刀屋川で、橋は三刀屋川と濁川の出合いに位置しています。

 

【橋の諸元】

橋名:霞橋

竣工:昭和89月(竣工式928日)

施工:稲田組(木次町)

型式:RC桁橋

所在地:雲南市掛合町多根

川:濁川

道路:雲南市市道?

 

【撮影】

平成264








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