元島根県民のお部屋

島根県の近代建築・近代化遺産と、路面モジュールのブログ

大森の羅漢町橋(大田市大森町)その2

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以前ご紹介した大森の「羅漢町橋」は、
架橋年も明確になっていない謎多き橋なのです。

島根県の近代化遺産の集大成ともいえる、「島根県近代化遺産総合調査報告書」にあっても、
羅漢町橋に解説のページを割いてはいるものの、架橋年に関しては一切触れられておらず、
どうにもこうにも「資料がない。」ということが推察されます。

せんだってヤフーオークションで、
羅漢町橋が写された絵葉書を落札しましたので、
これをもとに羅漢町橋について考察を加えたいと思います。

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大森の羅漢寺方面からより、羅漢町橋方面を写した絵葉書です。
キャプションには「石見大森羅漢町ヨリ見タル警察署」とあります。
正面の擬洋風の建物が大森警察署で、現在この場所は駐車場になっています。
この擬洋風の庁舎は明治18年に建設され、後の昭和12年、新庁舎建設のために解体されるまで
大森警察署として使用されていたそうです(昭和13年松陽新報記事より)。

絵葉書の年代ですが、絵葉書年代測定法によれば、通信欄の罫線が3分の1だったので、
「絵葉書が発行された」年代としては明治40年から大正7年の間ということが分かります。

絵葉書を見ると、電信柱・電線が確認できます。
大森に電気が通った年が明確ではないのですが、明治38年頃に大森鉱山に発電所が出来たとのことですから、
この点からも、絵葉書の写真は明治末~大正初くらいに写されたものであることが推察されます。

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グーグルアース様より画像をお借りしまして、現在と絵葉書との対比をしてみました。
警察署は無くなりましたが、橋周辺の民家は昔と比べてもあまり変わっていないように思われます。

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さて、本題の羅漢町橋についてです。
現在の羅漢町橋には、コンクリート製の親柱と欄干が据えられています。
前回も言及しましたが、石造アーチの橋本体に対して、
この親柱と欄干は時代的にデザインが不釣り合いな感じがします。

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絵葉書の羅漢町橋を確認しますと、当時の親柱・欄干の様子が
現在とは明らかに異なることがわかります。

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さらに絵葉書を拡大してみます。
石の角柱を等間隔に並べてあるように見えます。

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赤枠で囲った一回り大きい石柱、これが親柱のかわりだったのでしょうか。
いずれにしても装飾性がなく、原始的な親柱・欄干であり、
石造アーチの本体の築造と一体で設えられたものと考えてもよさそうです。

※そもそも絵葉書に写っている羅漢町橋は石造アーチなのかどうか、という議論も出てくるのですが、
木造橋であれば欄干などは本体同様木で据え付けられるはずです。
ですから、ここではすでに石造アーチであるとみなして話をすすめます。


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では、現在にみられる親柱・欄干に改装されたのはいつだったのでしょうか?
材質はコンクリートに洗出しの仕上げ、昭和の戦前期によくみられるスタイルです。

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欄干の比較をしてみました。
上:羅漢町橋
中:宝来橋(粕淵・昭和12年)
下:鍛冶屋谷橋(日原・昭和9年)

いかがなものでしょうか、このように比較してみますと、昭和の時代に架けられた橋のデザインとよく似ています。
大正・明治の比較対象となりうる資料を提示していないので、今一つ説得力に欠けるのですが、デザイン的に見ると、
おそらく昭和に入ってから改装されたのではないか・・・、ということがいるのではないかと思います。

【まとめ】
・古絵葉書より、羅漢町橋の当初の親柱・欄干は石柱を並べた簡素なものだった
・現在の親柱・欄干に改められたのは絵葉書が写された明治末~大正初以降である
・デザイン的に昭和戦前期に改装された可能性がある


【参考文献】
島根県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書 平成14年 島根県教育委員会
島根県を中心とした産業発展の歴史 明治・大正編Ⅲ
    平成25年 エネルギア地域経済レポート 中国電力㈱エネルギア総合研究所
島根とお雇い外国人技術者たち 平成27年 岡﨑秀紀


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